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接着工程のキホン~接着前処理(樹脂)~

製品を組み立てる際、接着剤を使用して組み立てる場合があります。

今回は特に樹脂部品に対する接着前処理について取り上げます。

 

強度の強い接着をするには被着体の表面状態がとても重要ですが、材料LOTや運搬・保管状態等で容易にバラつきますし、納入仕様書での保証も完全には困難です。

そこで、接着剤塗布直前の部品表面に処理を行い、接着強度のバラツキを抑えつつ平均値を向上させるのが接着前処理です(図1)。

 

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図1 接着前処理による接着強度変化

 

接着前処理による効果は大別して3種類あります(図2)。

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図2 接着前処理による効果



 

1つ目は、洗浄効果です。樹脂表面は内部からのブリード、成型型からの転写や環境からの汚れ等が付着しています。これら汚れが付着した部分は接着剤がうまく付かず接着強度が低下します。また、付着している成分によっては接着剤の硬化を阻害する場合もあります。この汚れを洗浄することで、汚れの付着量による接着強度のバラツキを抑制することが出来ます。

表面の汚れは接着強度に大きく影響します。接着工程では被着体表面汚れの管理はまず間違いなく必須です。

 

2つ目は、化学的な表面改質です。樹脂表面の化学結合が接着剤と相性が良いと相互作用が起こり、接着強度が向上します。例えば、水酸基(-OH)を被着体表面に生成すると接着剤と水素結合し強度が上がる場合があります。

化学的な表面改質効果は樹脂自体の化学構造を変えますのでかなり強力です。樹脂の種類によっては全く接着しない(接着強度0)から処理によって接着するようになることもあります。

 

3つ目は、物理的な表面改質(アンカー効果)です。被着体表面に物理的な凹凸を付けることで接着剤と接触する面積を増加させ、接着強度を向上させます。

アンカー効果の恩恵を最大限受けるためには凹凸の隙間まで接着剤が浸透する必要があります。つまり接着剤と被着体の相性が良い(よく濡れる)ことが前提であり、相性が悪いと逆に接着面積が低下しはじくような挙動を見せることがありますので注意です(ロータス効果)。

 

いかがでしたでしょうか。

具体的な樹脂の接着前処理手法はプラズマ処理、UVや火炎処理などの種類があります。

それらの詳細については別記事でご説明します。

もし記事のリクエスト等あればメールアドレスまでご連絡ください。