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接着前処理(樹脂向け)の種類

樹脂に施す接着前処理は主に3種類あります。

※接着前処理とは?こちら↓↓↓

technol.hatenablog.com

 

 

①プラズマ

プラズマとは電子とイオンに電離したガスの事を指します。工業的にはプロセスガスに電界を加え、電離させることで生成させます。

プロセスガスはプラズマのエネルギーにより”活性種”と呼ばれる反応性の高い状態になります。どのような活性種が生成するかは使用するプロセスガスの種類によりますが、接着前処理では酸素(O2)ガスまたはAirを用いて酸素ラジカル(O*)を発生させることが多いです。

酸素ラジカルは樹脂表面の汚れ(炭化水素)を酸化させCO2やH2Oとして気化させる洗浄作用と、樹脂表面を酸化させ官能基(-OH等)を生成させる表面改質作用があり、これらの効果によって接着性が向上します。

プラズマには真空と大気圧があり、真空プラズマの方が大面積処理が可能ですが真空チャンバーを用いたバッチ処理になるため製品形状や前後工程を考慮し選定が必要です。

真空プラズマの注意点としてイオンによる樹脂や周辺部材へのダメージや帯電の懸念があります。問題無い対象物の選定が重要です。

一方、大気圧プラズマは大気中の酸素と反応しオゾンを生成しますので、設備排気等で作業者への配慮が必要です。

 

 

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図1 プラズマ処理メカニズム

 

②紫外光(UV)

可視光よりも高エネルギーの光で表面汚れを分解する洗浄効果と、樹脂の化学結合を切り空気中の酸素と反応させることによる表面改質作用があります。

多くの場合、水銀ランプ波長(254 nm中心)が使われます。

大気圧プラズマ同様、空気中の酸素を分解しオゾンを発生させるため排気等が必要です。

ランプを増設するだけで大面積化が可能なためフィルム等の平面大面積部材の処理は得意ですが、影部が発生するような立体的な部材の処理には不得意です。

 

③火炎(フレーム)

プロセスガスに熱を加えることで炎とし、樹脂に照射します。実は、炎もプラズマの一種(=電離ガス)です。そのため処理メカニズムは①プラズマと同様です。

プラズマを生成する際に電気を使うか熱を使うかが違います。

火炎処理の処理速度は比較的速いですが、熱による樹脂へのダメージが懸念されるため適用可能な樹脂種が限られます。熱により劣化した樹脂は樹脂そのものが脆くなるためかえって接着強度が下がることもあります。

 

 

今回は以上です。いかがでしたでしょうか。

次回は工程で使用する際の注意点等に言及しようかと思います。

ご質問等受け付けておりますので、お気軽にどうぞ。